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エンジンに大ダメージを与えるノック現象(プレイグニッション)、それにまつわる日本国内におけるガソリンオクタン価の真実とは?

これまでもガソリンのオクタン価が要因となる『ノッキング』や『プレイグニッション』についてや実際のエンジントラブルの事例についてなどお伝えしてきた当ブログですが、この度、さるガソリンメーカーの方から『日本で流通するガソリンのオクタン価』に関する信頼あるデーターを得ることができました。

日本とアメリカのガソリンオクタン価の違いを当ブログや各雑誌媒体、そして現在発売中&売り切れ目前のZAK柴崎による工学書『ハーレー・ダビッドソン ダイナミクス(株式会社マガジン・マガジン刊)』などで何度もお伝えしてきましたが、やはり体感のとおり日本で流通するガソリンのオクタン価はかなり低いとのこと。それを裏付けるものに日本とアメリカの『ガソリンオクタン価の規定』の違いがあります。

ちなみにガソリンオクタン価の規定には「低速アンチノック性」を表す尺度であるリサーチオクタン価(RON)と「高速アンチノック性」を表す尺度であるモーターオクタン価(MON)の二つの測定法があり、それに準じて世界各国でガソリンオクタン価が表記されているのですが、アメリカのASTM(American Society for Testing and Materialsの略で日本語表記は米国試験材料協会。日本のJIS規格に相当するもの)は両者(RONとMON)の測定値の平均をもってオクタン価の規定を定めているということがポイントとなっています。対して日本のオクタン価表記はRONが採用されています。

たとえば出荷直前のガソリン(ロットサンプル)オクタン価を表記するにしても、それがまったく同じものでも

RONの平均は99.6で標準偏差は0.1

MONの平均は87.5で標準偏差は0.1

となるのですが、アメリカがRONとMONを平均としているならばRONが基準となる日本と同じガソリンでも大きなオクタン価の差が生じることがお分かりになると思います。上記のガソリンオクタン価をアメリカ規格で表記すれば93.55オクタンとなり、日本のRONによる99.6と大きな差があるのです。

つまりはアメリカでの100オクタンは日本では93.55となっており、同じ100オクタン表記でも実際には6.5近くオクタン価が低いことが証明されるに至ったのです。

このハイオクガソリンは原油に色々な基剤をブレンドし、構成されているのですが、日本では予めRONが100前後になるように調合されています。この調合割合は各製油所の設備によって異なり、RONとMONの結果が各製油所の個性となっているのですが、標準偏差が0.1と小さい値となっている意味はブレンドの配合でおのおの調整しているゆえ。各製油所でのブレが出にくいということが理由です。

日本の自動車ガソリンのJIS規格は1号(ハイオク)が95以上、2号(レギュラー)が85以上となっているのですが、それはあくまでもRON規格でのこと。RONとMONの平均値で表記されるアメリカとはオクタン価が大きく異なることがお分かりになると思います。

そのオクタン価とは何ぞや、ということを改めて説明すると「ガソリンの自然発火のし難さ」を示すパラメーターであり、数値が高ければ高いほど自然発火が「ガマンできる」ということ。ガソリンエンジンはスパーク着火式であるため、最適な着火タイミング以前にガソリンが自然着火することがないよう、コントロールする必要があるのですが当然、エンジンのピストン上昇による圧縮発熱によって自然着火してしまうことを避ける必要があります。

そして、この『自然発火』はもちろんカムタイミングや点火時期(遅角)で防げる類のものではありません。

日本のガソリンオクタン価事情を考えると燃焼室加工による圧縮比の適切化やピストンの変更による圧縮比の適切化をしなけばならないということがご理解いただけると思います。

日本のガソリンオクタン価にもかかわらず、いたずらに高圧縮化されたエンジンが、いかに内部にダメージを与えるか……その解答は明白です。

アメリカと日本のガソリン事情の違いを考えるとノーマルの状態でも高すぎるといえる現行ハーレーの圧縮比。それを更に高圧縮化することなどは言語道断な行為であることが理解できると思います。
ユーザーの皆さんはもちろん、これはプロのメカニックの皆さんにも留意していただきたい問題なのです。

※オレンジ色の各文字をクリックしていただくと各社リンクや過去のサンダンスブログが閲覧できますので、そちらもぜひご覧ください。

 

 

 

 

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