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旧車の価値を落とすことなく、ナックルを“再生向上”させるサンダンス流オーバーホール術とは(その3)

これまで連載形式でサンダンス流ナックル再生向上オーバーホール術について紹介させていただいた当ブログですが、1936~1947年まで生産されたこのモデルはバルブまわりひとつとっても様々な問題を抱えています。

そのひとつがバルブスプリングの問題です。

従来あるナックルのリペア品、そのバルブスプリングの品質はかなり劣悪と言わざるを得ないのが現状です。その中で頻発するトラブルが「バルブスプリングがよく折れる」という点。さらにブリキのロッカーカバーにバルブスプリングが当たり、擦れる音がするのも代表的な欠点です。

そこで当社サンダンスではバルブトップカバーのコッター部分の改造し、特注のコッターを組み付けた上で、アイアン・スポーツスター用と同サイズの特注ストリート&レースタイプのバルブスプリングを使用します。
アイアンスポーツといえどもドラッグレースを想定したバルブスプリングはエンジン回転数も7,000rpm近くまで使用可能なのですが、このサンダンスの特注バルブスプリングも然りです。無論、耐久性もノーマルのナックルとは比較にならない高強度を誇ります。

さらにはバルブスプリングの外径自体も小さいのでナックルのロッカーカバーに当たり、擦れることで発生する異音を解消する利点も得られます。

また以前のブログでインテーク側のバルブステムをティン(細い)タイプにする効果についてお知らせさせていただきましたが、上の写真にあるとおりバルブステムが細くなった分、ラッシュキャップ(バルブトップのキャップ)を被せてバルブステムの当たり面積をノーマルと同等にし、ロッカーから外れないよう安全な太さを確保しています。

そのバルブスプリングをセットした上で前回のブログでお伝えしたとおり下側のリテーナーにブロンズ製を使用するのですが、ここはバルブスプリングの熱をヘッド側に逃がすと共にスムースな動きをバルブスプリングに与え、スプリングの負担も軽減する狙いゆえ。バルブスプリングが上下に摺動する際、ツイストしているのでノーマルと同じリテーナーだと鉄粉が発生してしまうのですが、この処置によりそうした問題も防ぎます。

さらに既成にあるナックル用バルブスプリングはベストのレートのものが存在しないのですが、当社サンダンスで使用するものは必要以上に硬くなく、ナックル本来の走りを引き出すものとなっており、冒頭で語ったとおりエンジン回転域も7000rpmまで対応します。たとえばエンジンの性能が上がることをイコールでハイスピード化し、ハーレーらしい鼓動感がなくなってしまうと考える方も中にはいるかもしれませんが、現実は決してそうではありません。

アイドリングから低速、中速、高速域においてすべてにパワーアップ、トルクアップするテイストはハーレーの魅力を更に増幅させるものである自負が我々サンダンスにはあります。

ナックルをオーバーホールする際に当社サンダンスが使用するインテーク側のティン(細い)ステム・ビッグバルブや適切なレートの小径バルブスプリング、ブロンズのリテーナー、銅コーティングしたT-SPECガイド、化学合成油対応のオイルシールなどなど独自の技術を今回のブログでは紹介させていただきましたが、それらはナックルの弱点を完全に克服し、本来のパフォーマンスを引き出すためのものであり、世界的に見ても当社サンダンスのみが提供可能なサービスとなっています。

アメリカのチューナーの中では意外にもパンヘッドよりナックルの方が良いと評価し、ドラッグレースなどでも使用するケースがあるのですが、それはこのモデルがそれだけ秘めたるパフォーマンスを持っているということでしょう。シリンダーの強度的な問題はさておき、確かに鋳鉄ヘッドのナックルの方がドラッグレースのような競技の場合、ヘッドが温まりやすいメリットがあると思います。

実際、当社サンダンスにて今回のような “T-SPEC” 再生向上プログラムを施したナックルはエンジンに負担をかけず、パワーとトルクを向上させ、それがハーレーらしいテイストアップに繋がる実績を誇ります。過去においてナックルで後軸100馬力を超えるようなストリートマシンを何台か生み出し、オーナーさんや試乗した方々から絶賛の声をいただいたこともありますが、それらのエンジンはすべて故障知らず。当然、ドラッグレーサーのように一過性のパワーとスピードを求めたものではありません。あくまでも日常の中で走らせてこそ楽しい安全性と耐久性、ハーレーらしい鼓動感溢れるテイストが追求されています。

ナックルといえども、ただ旧いやり方を後なぞりするようなオーバーホールではなく、外見的な旧車的価値を何一つ落とさず、様々な内部構造を改善することでエンジンに負担を掛けず、性能と耐久力を上げるのが当社サンダンスの流儀です。

今回のブログでは、そのサンダンス流再生向上オーバーホール術を紹介させていただきましたが、現在絶賛発売中の“ハーレー・ダビッドソン ダイナミクス” でも一連の “ナックルヘッド再生向上術” がすべて掲載してありますので皆さま、ぜひそちらもご購入の上、ご一読くだされば幸いです。

※各オレンジ色の文字をクリックしていただくと過去の当社ブログや“ハーレー・ダビッドソン ダイナミクス” の販売ページにリンクされていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。

 

 

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