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XR1000に見る問題点と改善策、その4
ここまでXR1000の問題点や改善策をお伝えしてきた当ブログですが、『4速スポーツスター系』モデル、最大の泣き所といえるのが今回のテーマとなるトランスミッションに他なりません。ちなみに上の写真、プライマリーの奥にミッションがあることは周知されていると思いますが、以前のブログでご紹介させていただいたとおり、当社サンダンスではそのプライマリーのXR1000用のメタルデカールを小ロットながら販売。現在、残りわずかですのでご興味のある方は、まずは当社ホームぺージのオレンジ色の文字をクリックし、コンタクト・フォームからお問合せいただければ幸いです。
さて話をトランスミッションの問題点に戻しましょう。
スポーツスター系モデルのトランスミッション・オイルは多くの方がご存じのとおりプライマリーオイルと併用されているのですが、1990年までの4速モデルは約1リットルという非常に少ない容量であり、それがトラブルを引き起こす要因になるのです。
上の図は当社代表のZAK柴崎による著書、『ハーレーダビッドソン・ダイナミクス』に掲載された『4速XL系モデルの停車時におけるミッションオイルの状態』を表したものですが、先述のとおり約1リットルというオイル量ゆえ、サイドスタンドで長時間、左に傾けて駐車した場合、数日間放置するだけで、エンジン始動時に完全にオイル切れした右サイドのメインシャフト・ベアリングが破損するケースがよく起こるのです。
その最も簡単な対処法として(長期間駐車した車両は)エンジン始動前に一度、車体を右の方に出来るだけ傾け、メインシャフトのベアリングに十分にオイルが回るようにしてからスターター(セル)ボタンを押すことが必須なのですが、こうした細かい部分に注意することもXR1000を含む『4速スポーツスター系モデル』では念頭に置くべきポイントです。
加えて『4速スポーツスター系モデル』のミッション、その代表的な症状として挙げられるのが、2速、3速のメインギアおよびカウンターギアの歯こぼれや歯の虫食い、剥離等の問題です。ここは加速時やシフト時の衝撃が他のギアより多く受ける為、このようなトラブルが多く見受けられます。その対策としてH-D社よりリコール用としてリリースされたパーツもありますが、これは若干、信頼性に欠けることは否めません。ゆえにサンダンスではアンドリュース製のギアへ変更することを推奨しています。
またXR1000を含む『4速スポーツスター系モデル』ではドライブスプロケットの固定スプライン部からの漏れによるオイル容量不足もミッションに大きな致命傷を与える要因になります。しかし、当社サンダンスではこの箇所の構造の弱点に着目し、『リークレスOリング付きスプロケットブラインドナット』を開発し、製作。このパーツによりミッションオイルの漏れをほぼ完全に防止することも絶対的に有効な対策です。
さらに純正ではプレスされた鉄製のミッションシールカバーも当社サンダンスではオリジナルで『ビレットアルミシールカバー』を製作。より密封性の高いパーツへ換装することにより、ミッションからのオイル漏れを完全に防止します。先述したとおり、そもそも『4速スポーツスター系モデル』はミッションオイルが少ないのですが、これが漏れてしまうことによりメインシャフトのベアリングが破損を起こしやすい状態となるのです。
なおメインシャフトとクラッチギア(1stギア)との間のオイル循環に難があるのも4速スポーツスター系(アイアンヘッド)までの欠点なのですが、これも硬質クロムの3倍の硬度を誇るCrN処理を施すことで圧倒的な耐久性とフリクションの低減を図ることが可能です。(ニードルベアリングが当たる摺動面にはこの処理を施していません)この表面改善技術によって擦動性能がUPし、ギアブッシュの寿命も向上。メインドライブギアのブッシュに対し、スムースかつ長寿命の効果をもたらせるのです。
また前後のスプロケットのチェーン・センターラインが正確に出ていない点も4速スポーツスターやXRが抱える問題のひとつなのですが、それを補正し、改善するパーツも当社サンダンスでは開発&販売しているのですが、これは5速用のスプロケットを使用し、溶接アダプターを用いることで構造を改善。精密なスプラインに対して、より正確なアライメントでの溶接を施工することによって、若干のオフセット変更も可能にします。(溶接サービスは別途)
ここまでXR1000における問題点をいくつかを駆け足でお伝えしましたが、この特殊なモデルに対するサンダンスの解答は「弱点と思える箇所の材質や構造を根本的に見直し、それらをより高い強度のものへ改善する」という部分です。
たとえばXR1000のロッカーシャフトにしても、破損などのトラブルを経験し、高強度のSNCM材で製作するという解答に至ったのです。
特にXR1000は基本的にミッションの構造やクランクピン、クランクケースの鋳込み部に問題があるアイアン・スポーツと同様の腰下にレーサーと同じアルミヘッドを搭載したものゆえ、ストリートを走るバイクとして無理が生じたものであることは否めません。それを改善、修正すべく当社サンダンスが様々な対策パーツをリリースしてきたことは、今回の一連のブログをご覧になっただけでも、(まだほんの一部の紹介ですが)お分かりになったと思います。そしておそらくは、このようにXR1000の対策パーツや改善策を熟知するショップは、世界中を見渡しても当社サンダンスだけという自負があるのも本音です。
これらはあくまでも一例に過ぎませんが、数多くのレース参戦や、その際の実践的なデータの収集によって、あらゆるケースでの4カム系エンジンの弱点を把握し、多くのパーツを開発し、それを果たす為にあったのがSUNDANCE RACING PROJECTなのです。当社の開発パーツにはその経験が息づいています。
そうした活動やXR1000の問題点、そのすべてを解消すべく、これまで開発した対策パーツを組み込み、より信頼性の高い5速4カム系エンジンをベースにして生み出されたマシンがスーパーXRなのですが、もちろん、このマシンは単なるレプリカではなく、サンダンスが考えるXRの理想形であり、現在の交通事情への対応をも考慮したものとなっています。
また機会があればXR1000を「よりハイパフォーマンスに、より耐久性を高く」するチューニングメニューの数々を紹介することもあるでしょうが、今回は一旦、ここでこの題材のブログの区切りとさせていただきます。
いずれにしても、機械を機械として正しく捉え、弱点を解消・改善し、手を加えてやればXR1000という特殊なモデルでもより高いパフォーマンスと耐久性を両立するマシンに再構築することが可能なのです。そうした部分がこのブログを通して少しでも皆さんにお伝え出来れば我々、サンダンスとしても幸いです。













