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ナイものは創ることも旧車リペアの秘訣です。

近年のハーレー・シーンを見てみるとナックルヘッドやパンヘッドなどの旧車が高い人気を博しているのですが、しかし、いづれのモデルでも最終型から数えると半世紀以上の年月が経過しています。
ハーレー初のOHVモデルであるナックル最終が1947年なので今から75年前。
初のアルミヘッドを搭載するパンヘッドでも最終型は57年前。
こうして改めて数字を見ると驚くほどに時間が流れているのですが、それはすなわち、当時のままの純正パーツがそのまま残っていることは稀であると言わざるを得ないのが現状です。
特に1930年代からハーレー純正で採用されている“リンカート・キャブレター”は、排気量やエンジン形式に応じて細かくモデル分けされているのですが、たとえば排気量1000ccのELに本来はFL用のM74が装着されていたり、逆にFLにM61が装着されていたりといった車両を見受けることがしばしばあります。
また、それどころかキャブの内部構造にしても様々な時代のパーツがミックスされ、構成されているものを見かけることもあるのが現実です。
たとえば883ccの排気量のスポーツスターに大口径のS&SスーパーGを装着しても意味がないということは、多くの方が承知していると思いますが、リンカートキャブもまた然りです。1000ccのELに1-5/16”サイズのベンチュリーのM74を装着しても適切なセッティングが得られないことは明白です。ちなみにEL用のM61やM61Bはベンチュリーサイズが1-1/8”となっています。

ちなみにリンカート・キャブレターは細かくモデルごとに分類されているものの、基本的にボディ自体は同じ。そもそも内部に圧入されたアルミ製のパーツでベンチュリーサイズが調整されているのですが、今回はELに装着されたM74Bの内部ベンチュリーを製作して1000ccに適合するようモデファイ。
今の時代に半世紀以上前のオールドパーツを探すことは難しいのですが、「ナイものは創る」ことも当社サンダンスの流儀です。

上の写真の右にあるのが今回のリンカートに装着されていたベンチュリーなのですが、もともとパンヘッド時代のFL用ゆえ、一目見ただけで口径の大きさがお分かりになるのではないでしょうか? 今回はこのパーツを左にあるように旋盤で製作し、インナーベンチュリーをELナックルに適合したものとします。

作業手順としては旋盤で外径を製作した後、ベンチュリーを形成していくのですが、やはりスムースな混合気の流入を促すようひと手間加えることもサンダンス流。旋盤で回したベンチュリー内をリューターで形を整え、パーツを作成していきます。

右の純正と比較して、写真からもかなりベンチュリー径が絞れていることがお分かりになると思います。また目視する限りでもサンダンス製ワンオフはスムースな吸入が得られる形状となっています。

形状を整えた後はメインノズルの穴をドリルを使い、穴あけした後、バリ取り加工します。ちなみにここまでの作業は十数分程度。手前ミソながら、当社の代表である“ZAK”の作業スピードにはスタッフ一同、驚かされる次第です。

最後にバフかけして製品として仕上げ、完成となります。こうしたパーツを当社では意味なくワンオフ製作するワケではなく、冒頭に書いたとおり、年式違いで組まれた旧車パーツなどは、好調な状態にする為、時にワンオフで部品を製作することもサンダンスではままあります。
今回は技術の紹介として、こうしたブログを書かせて頂きましたが、やはりバイクというものは“走ってこそ”存在の意義を持ちます。
たとえばこうした特殊なケースの旧車リペアだけではなく、ご自分のバイクが不調な場合など、なんでもお気軽にご相談ください。パーツが絶版になっていたとして『ナイものは創り、ハーレー本来の調子を取り戻す』ことが我々、サンダンスのポリシーです。

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