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記録的な猛暑だからこそ考えたい根本的なオーバーヒート対策 その1

近頃は連日のニュースで「記録的な猛暑」というフレーズが連呼されていますが、空冷・大排気量のハーレーにとってツラい季節と感じる方も多いことでしょう。

放熱性に優れているハズのアルミシリンダーエンジンのミルウォーキーエイトでも「真夏にオーバーヒートで片肺(片排)機能が作動した」であるとか「ノッキングがする」というフレーズを目にしますし、ショベル以前の鉄シリンダーモデルなら「夏は乗らない」やら「秋口までバイクを冬眠(夏眠?)させる」という言葉を発信するユーザーの皆さんもSNS等を見かける限り、多いように感じます。

たしかに熱中症の危険がある今のような気温では、まず先に人間がマイッテしまうのですが、しかし、ハーレーのエンジンは大排気量のM8でも鉄シリンダーの旧車でも「適切な圧縮比」に改善されたハーレーは、そんなにヤワではありませんし、実際、当社サンダンスのお客様の中には真夏の35度オーバーの中でも毎日のようにバイクに乗っている方や100~500㎞の距離を走る方も少なくはありません。

以前に書籍の『ハーレーダビッドソン・ダイナミクス』や以前の当社ブログでもお伝えしたように日本とアメリカ(海外)のガソリンオクタン価の違いや、不適切に高圧縮化されたエンジンなどがオーバーヒートの原因のひとつであることは間違いないのですが、逆を言えば適切な圧縮比のエンジンならオーバーヒートとは無縁になります。それどころか、パワーもトルクも耐久性もアップするというメリット以外は有り得ないというのが現実です。

当社サンダンスでは、そうした現実を踏まえて様々なプロダクツをリリースしているのですが、すべては上にある『空冷H‐D V2エンジンエンジン圧縮比チャート』に則ったものとなっており、1200~1340㏄や1450~1580㏄、そして1900~2000㏄オーバーまで排気量に応じて様々なプロダクツを用意しております。過剰な高圧縮はもちろんダメですが、逆に圧縮が低すぎてもパワーやトルクは導き出せません。やはり『適切』な圧縮比こそが肝要なのです。

そうしたことを踏まえ、排気量に応じて適切な圧縮比となったハーレーならば酷暑の夏場でもヘタることはなく、スーパーXR‐BTやロボヘッドのようなハイチューン・エンジンにしても然りです。それはこれまで当社のお客様たちがそれぞれの『走り』で証明してくれていると思います。

さらにいえばショベル以前の鉄シリンダーモデルにしても言うまでもなく圧縮比が適切化されたものは夏場にオーバーヒートとは無縁です。たとえば旧車が夏場にオーバーヒートを起こすのは放熱性に劣る鉄シリンダーが原因と考える方も多いとは思いますが、しかし、旧車にしても圧縮比を適切化し、良質なオイルを入れ、その管理を行い、適切なセッティングをすれば「夏場は走ることが出来ない」などということにはなりません。

ちなみに当社サンダンスは創業まもなくの1985年にショベルヘッド用のアルミシリンダーを限定でリリースした過去があるのですが、これも鉄シリンダーの放熱性の悪さを考慮したゆえ。実際、このアルミシリンダーは鋳鉄製に比べて全体で60%、放熱性がアップしたデータが残っており、今もこのパーツを装着して走っている車両もあるのですが、しかし、数々の経験から当社代表のZAK柴崎は「オーバーヒート対策は適切な圧縮比と適切な点火時期、高品質のオイルで解決できる」という解答に行き着き、今に至っています。やはり肝要なのは日本のガソリンオクタン価に合わせたセッティングです。

その日本のガソリンオクタン価については以前にも当ブログで取り上げ、そこで詳しく説明させていただいているのですが、このガソリンオクタン価というものが、何のために設定されているのかを考え、知れば答えは明白でしょう。

以前のブログでも“ガソリンのオクタン価”とは何か? ということを簡単に説明しましたが、これはエンジン内(燃焼室)での自己着火が起こりにくい数値のことで、この数値が高いほどノッキングが起こりにくくなることを解説しましたが、まずは日本とアメリカのガソリンオクタン価の表記、ガソリンそのものの性質がそもそも違うということを念頭に置くべきです。

今回は夏場のオーバーヒート対策として、その抜本的な解決法についてを紹介させていただきましたが、もちろん、圧縮比だけではなく、高品質なオイルの使用やその管理など対策すべき項目は様々あります。

これから何日かに渡って当ブログにて「真夏のオーバーヒート対策」についてお伝えしていく予定ですが、何より皆さま、この記録的な酷暑が続く毎日ですので、くれぐれもお体をお気をつけてくださいませ。

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