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XR1000用 “T-SPEC” 鍛造ピストンが入荷いたしました!
F-1やインディーカー等で使用されるトップメーカーであるWisecoとコラボし、品質、性能ともに大好評を博している当社の『サンダンス×Wiseco“T-SPEC”鍛造ピストン』ですが、この度、XR1000用が入荷いたしました。
純正やスクリーミンイーグル製ではピストンやピストンリングに鋳造製が採用されていることをご存じの方もいるとは思いますが、この度、当社サンダンスからリリースされたXR1000用ピストンは鍛造製。かなりの過去にさかのぼれば鍛造ピストンといえば、熱膨張率や組み合わされる鋳造のピストンリングからの圧縮漏れなどが見られましたが、近代的な構造のピストンはそうではありません。今は熱膨張率も、それほど大きくなくなり、さらにテンションの強い鍛造製ピストンリングが使用されているので圧縮漏れもありません。過去の鋳造製が悪いとは決していいませんが、それらをスタンダードだとしたら、よりブラッシュアップさせ、高性能かつ近代的にしたものが今回の XR1000用“T-SPEC” 鍛造ピストンなのです。
少し話が前後してしまうかもしれませんが、まずここでピストンに使われる“鋳造”と“鍛造”の違いについて説明しましょう。
上にある純正XR1000用のようにハーレーが長らくアルミ鋳造製のピストンを採用していたことは皆さん、ご存じだと思いますが、鋳造製は材料の分子構造が粗いため、熱膨張率が低く、比較的軽量で一般的といえますが、反面、強度的にはやや乏しくアルマイト処理やスタビライザーなどの補強構造に頼る部分もあります。対して鍛造製は分子密度が細かく、強度が高いのが特徴で高性能向きといえます。以前は熱膨張が大きいことが欠点でしたが、近年では合金材料の進化と加工形状によって改善が見られています。また重量に関してもむしろ現在の技術では鍛造の方が軽量です。
それゆえに当社サンダンスでは1986年頃からワイセコへ特注し、鍛造ピストンを使い始め、様々なメーカーへ適材適所でピストンを発注。近年ではショベル以前の旧車でもすべて鍛造ピストンを使用しているのですが、これは以前ならガスケットの精度や材質の関係で使用しなかった化学合成油を今は当たり前に使用(というよりメリットしかありません)している状況と同じといえます。現在の技術で生産された鍛造ピストンにデメリットはなく、逆に旧車といえども鋳造ピストンにこだわる理由もない、というのが正直な見解です。
また鋳造、鍛造といえば明らかに性能的に後者(鍛造)に軍配があがるものとして挙げられるのがピストンリングの素材です。
かつてワイセコ社ではヘスティングス製の一般的な分厚いピストンリングを採用していたのですが、密閉性や摺動性はやはり張力の強い鍛造製のほうが優れた性能を発揮します。現在では日本ピストンリング工業(NPR)製の1.5mmの鍛造薄型トップリングをワイセコでは採用しているのですが、これも1986年頃に当社サンダンスがNPR製ピストンリングをワイセコ社に持ち込み、このリングに合わせた形状のピストンを特別オーダーしたことが発端です。もちろん、今回のXR1000用鍛造ピストンも、その歴史と信頼をベースに開発されています。
このニッピ製鍛造製ピストンリングを採用したからこそ、フリクション(摺動抵抗)が少なく、よりパワーアップも見込めるプロダクツが誕生したといっても過言ではありません。
さらにいえば、スクリーミンイーグルからリリースされていたXR1000用ピストンは10.5:1と非常に高い圧縮比に設定されており、日本の燃料事情において適合しないものとなっています。過度な高圧縮の問題に関しては、以前の当社ブログでお伝えしたとおり、致命的なノッキングを必ず誘発し、そのダメージはクランクにも及ぶのですが、対して当社サンダンスのピストンは「圧縮比の適正化を厳守します。今回の“T-SPEC”鍛造ピストンもリングの密閉性を極限まで高めることで、エンジンに負担をかけず、ノーマル以上の力強い「生きた圧縮」を引き出す設計となっており、圧縮比は純正より若干、高めながら許容範囲の9.5:1に設定。耐久性、パワー、トルク共に向上することが確実なプロダクツとなっています。
1983~1984年のわずか2年間で、世界全体でも1700台強しか生産されなかった稀少なXR1000ですが、以前のブログでもお伝えした通り、今や当社はその「駆け込み寺」のような存在となっています。単純にビジネスとしての効率やユーザー数だけで見れば、この希少車のために専用ピストンを開発し、販売を継続することに大きなメリットはないかもしれません。しかし、ハーレーを愛し、トラブルでお困りの方が一人でもいるのなら、持てる技術を尽くして手を差し伸べるのも、当社サンダンスの40年来変わらぬ信条です。
XR1000を本来の、そして最高のコンディションで走らせたいオーナーの皆様。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。






