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“4POTビレットバナナ”キャリパー、プロトタイプのモニター・テストはじめました

昨年末にプロトタイプの完成をお知らせした“ショベルFLH用4POTビレットバナナキャリパー”ですが、いよいよそのモニター装着テストを開始。今回のブログではその装着インプレッションと当社代表のZAK柴崎による解説をお届けいたします。

ちなみにこの“4POTビレットバナナキャリパー”の装着テストにご協力してくださった内田さんは35年来サンダンスに通うお客様で、当時から今回のテストで使用したショベルFLHに乗り続けるヘビーユーザー。当社にて1520ccまで排気量UPしたショベルで毎年北海道ツーリングに出かける、という走り方からお分かりのとおり、年間かなりの距離を走るのですが、唯一の不満ポイントが“ブレーキ”だったとのこと。

ショベルを購入後、ヘッドの無鉛化対策を施し、ZAKのアドバイスによりブレーキをロッキード(AP)製に換装し、30年以上使用していたのですが曰く「効き自体に不満はなかったものの、ブレーキのタッチやコントロール性、ハードブレーキング時にフォークがヨレるような感覚に少し違和感をもっていた」とのこと。「ブレーキ自体は効くのですが、停車の最後にロックする感じでガクガクガクっと止まる感じ」に不安定感を抱いていていたそうです。また「スタイルもクラシカルなFLHに対してレーシーなイメージなので好みではなかった」と率直にコメント。きっと同じような気持ちを抱いているショベルFLHユーザーも多いのではないでしょうか?

そうした不満ポイントをひとつ、ひとつ解消し、開発に踏み切ったのが当社の新製品となる“4POTビレットバナナキャリパー”なのですが、年末の当ブログでもお伝えしたとおり、純正ショベルのバナナキャリパーの弱点を完全解消した上でノーマルのスタイルを克明に再現。アルミビレットでありながら丸みのあるデザインに仕上げられています。

もちろん性能面に関してもノーマルショベルのネガティブな要素をすべて払拭。ショベルのバナナキャリパーといえば1POTの片押しゆえ、制動力も弱く、走行時の“ガタつき”など問題の多い製品なのですが、何よりも根本的な設計が間違いとのこと。その点を当社代表のZAK柴崎も指摘します。

「まずショベルのブレーキの問題点がいくつかあるのですが、まずブレーキマスターのピストン径に対してキャリパー側の方にブレーキフルードの圧送量が1POTゆえ少ないんですね。油圧ジャッキと同じ理屈で“パスカルの原理”を考えると小さい(ブレーキマスター側の)ピストン径でストロークを増やす方が少ない力で効率よくモノを持ち上げられるんです。マスターシリンダーの径をノーマルのままとするならキャリパー側の使うオイル圧送量比を増やしてやるという考え方ですね。その比率を正しく計算し、設計したのが今回の4POTビレットバナナなんです」

その“パスカルの法則”を極簡単に説明すると“密閉された容器内の流体の一点に加えた圧力は流体のすべての部分にそのままの大きさで伝わる”というものなのですが、これを応用したのが先の例で登場した油圧ジャッキや油圧ブレーキのシステムとなっています。ブレーキマスターシリンダー側のピストンを押す力がブレーキフルードを介してキャリパー側のピストンに伝わり、パッドがブレーキディスクを挟み込むことで制動力を得るのが理屈なのですが、もともとショベル純正のブレーキマスターとキャリパーの比率が著しく狂いがあるのが問題となっています。

ちなみにショベルのノーマルブレーキマスターのピストン径は19㎜(3/4″)、なのですが、このサイズでは適正な比率だと純正バナナキャリパーをダブルで装着しなければならない大きさ。’82年式からマスターのピストン径も17㎜になっているのですが、シングルディスクであれば14㎜くらいのサイズが理想的な比率となっています。
それを適切な比率にしたのが当社の“4POTビレットバナナキャリパー”です。

余談ですが、そのピストン径を変えることなく、レバーの比率を変更し、“握りしろ”のストローク量を伸ばすことでコントローラブルかつブレーキの“効き”を向上させているのが当社のフェザータッチレバーなのです。

たとえばブレーキマスターを変えることなく、タッチや効きを良くしたいと考える方が多いゆえ、フェザータッチレバーは当社のプロダクツの中で断トツの売り上げとなっているのですが、今回のショベルFLH用“4POTビレットバナナキャリパー”にしても然り。ノーマルの姿で最上級の性能を与えることがコンセプトとなっています。

実際に今回のプロトタイプを装着した内田さん曰く、これまでのロッキード(AP)製に比較してブレーキタッチも効きも向上しているとのことで「止まりかたの減速は早いのに怖くないコントロール性をすぐに体感できた」そうです。加えて「ロッキードの時は操作を誤るとブレーキロックして“握りゴケ”してしまうような感覚があったんですけど、今回のビレットバナナは良い意味でABS付き車両のようにスッとバイクが止まる」というコメントもいただきました。「まだアタリが出る前でこの効きは驚き」とのことです。

ショベルFLH専用設計ゆえ、商売として考えると少ないパイに向けた商品かもしれませんが、それよりも「困っているお客様のためにコストをかけてでも安全性を追求する」のがサンダンス、すなわちZAK柴崎の信条です。決して大きなマーケットではないかもしれませんが、ノーマルスタイルのバナナキャリパーのスタイルを保ちつつ、最上級のブレーキ性能を求めている方もきっと世のハーレー乗りの中にはいることでしょう。

当然、当社の“4POTビレットバナナキャリパー”は絶対的な性能向上のみならず、ブレーキフルードもH-D純正のDOT5が使用可能となっています。(ちなみにAPやブレンボのキャリパーはブレーキフルードもDOT3やDOT4が指定です)また販売時のカラーリングもショベル純正に準じたもの(ビレット感が損なわれるのはモッタイナイのですが)になる予定です。

「ノーマルショベルのマスターシリンダーでも安全性が欲しい」という方は、是非当社ホームページでの情報更新をチェックしてお待ちください。

 

 

 

 

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