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ツインカムエンジンのチューニング。決定版となるキットが登場です!
ハーレーのエンジンチューニングには様々なアプローチがありますが
その代表例として多くの方が思い浮かべるのがストローカーキットによる
ストロークアップではないでしょうか。
そもそもがロングストローク構造であるハーレーエンジンの特徴を
更に強めるパーツを使った排気量アップは、確かに定番の手法なのですが
しかしながら正しい工学理論に基づいて考えた場合、
それらはエンジンとして片手落ちな構造であると言わざるを得ません。
たとえばピストンの往復運動をクランクの回転運動に変換するうえで
欠かすことが出来ないコンロッドにしても
既存のストローカーキットでは明らかに異常な “ 連桿比 ” (レンカンヒ)となることは否めない事実です。
この “ 連桿比 ” とは、クランクシャフトの中心からクランクピンの中心までの距離と コンロッド長の
比率 を指すのですが、レシプロエンジン於いてはその数値が特に重要で、
これはコンロッドの芯間距離 ( コンロッドの大端部の中心から小端部の中心までの距離 ) を
ストロークの1/2の長さで割ることで算出することが出来ます。
ちなみに一般的な4ストロークエンジンの場合、
この数値が最低でも “ 3.5 ” 以上になるように設定されているのですが、
この数値が大きくなればなるほどコンロッドの振幅角度が小さくなり、
ピストンがシリンダーに押し付けられる力 (サイドフォース) がどんどん減少していきます.
近年ではクルマのポルシェ・エンジンでコンロッド長が1㎜長くなっただけでも大きなニュースになる
ほど、連桿比を語らずして、エンジンチューニングは語れないことがおわかりでしょう。
また弊社が様々な部分で実践的なテストを行う上で教材となったレーサー、
“ デイトナウエポン ” は 連桿比を “ 5 ” に設定しているのですが、
言うまでもなく、これも狙いは耐久性とパフォーマンスの向上です。
また排気量の異なるカワサキZ系やヤマハSRなども、
性能に見合った正しい連桿比に設定されています。
逆にいうと、正しい連桿比を無視して作られているのがハーレーのチューニングパーツといえます。
したがってピストンの縦キズ(スカッフィング)やクランクベアリングの損
傷などのトラブルが日本車に比べて多く発生する原因は、そこに起因します。
これをハーレーエンジンに置き換えると既存のストローカー・キットが
何故、間違いであるかということを、多くの方がきっと理解出来るでしょう。
その法則に基づき、この度開発に至ったのが
世界で初めて、正しい連桿比を用いたストローカーキット
“ TC用アキュレシオクランク ” なのです。
やはり最大の特徴と言えるのが
適切な “ 連桿比 ” を求めたコンロッドの延長とシリンダーのロングレングス化(シリンダー有効部の
延長)です。キットの内容は
鍛造ストローカークランク、
特注のロングコンロッド、
特注のロングシリンダー、(シリンダーはツインカムには珍しい丸型形状)
鍛造(4.1/8)ピストンになっています。
オプションの、クランクヘビーウエイトリングも用意してあります。
ストローカーによる、低中回転の大きなトルクに加え、中間域から高回転域までの有効回転数内で
の無理のない伸びあがり感は誰もが未知の体験といえます。
ラインナップは、フレームのスペースの関係上、
TCソフテイル・ツアラー系モデルが4-5/8ストローク。
ダイナ用は4-1/2ストローク。
圧縮比は共に日本のガソリンオクタン価に合わせて7.8~8:5に設定しております。
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チョッパージャーナル誌(25号/2015年9月27発売) P188~199
“パーツ検証”のコーナーでも、記事展開していただきました。