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当社の新技術、“T-SPECコート” の紹介です。

不定期でメカニカルのテクニカル・レクチャーや当社に持ち込まれた車両のトラブルシューティングおよびその改善策などをご紹介させて頂いている当ブログですが、今回は当社の新サービスである“T-SPECコーティング”の紹介です。
これまで当社ではスーパーXRなどで使用するアルミビレットシリンダーにはドイツのマーレー社が商標を持つニカジルメッキを30年前から、そしてショベル以前の鉄シリンダーには強化メッキ皮膜によって低摩耗性と低フリクションを実現する “アーマープレーティング” を15年以上前から推奨し、金属の表面処理によるフリクションの低減の効果を唱えてきましたが、この先の時代は環境保全の観点から、有機溶剤の廃液の処理が必要になる従来のような電解メッキが排除される方向になるのが実状です。
つまりは、何かしらのトラブルでメッキが剥がれてしまった場合、この先の時代は再生することが難しいと言わざるを得ないでしょう。

そうした現状を考え、当社では “溶射”による “T-SPECコート”のサービスをスタートしたのですが、まずこの “溶射” とは何かを簡単に説明させて頂きますと「溶けた金属を直接、対象物に吹き付ける」工法で、対象物の金属と結合するゆえ「メッキより密着率が高い」のが特徴となっています。
また従来のメッキの場合、母材によっては化合しない材料も存在しますので、たとえば対象物とメッキの中間にニッケルを載せたり、銅を載せたりといった下処理をしなければならないのですが、特殊金属が直接、結合する「溶射」の場合、その必要がありません。つまりは対象物の材質を問わないというのが利点なのですが、従来のニカジルメッキより硬く強く、摩擦の少ない皮膜を形成することが可能になります。またこの皮膜は鏡面処理をすることが可能です。

ちなみに当社の “T-SPECコート” の皮膜をミクロの世界で見てみるとブロック塀の表面のように「ポーラス」と呼ばれる「気泡による穴」が開いており、これがオイルを蓄える構造となっているのですが、その昔あった「ポーラスメッキ」は、こうした表面的な形状の特徴を利用し、メッキ気泡の中にオイルを含有させるものとなっています。しかし、メッキゆえに剥離しやすいという問題があったのも正直なところです。

対して溶けた金属を直接、吹き付ける「溶射」の場合、先ほどご説明させて頂いたとおり、「金属が結合」する特徴があるゆえ、硬く、耐久性に優れた構造となっています。その上でフリクション(摩擦抵抗)はニカジルの1/3~1/4ほどとなっており、今まで以上のメリットしか存在しません。
また先ほど述べたとおりの「ポーラス」構造によって、クロスハッチ・ホーニングの必要がなく、シリンダー壁面に対する「慣らし」がほとんど必要ないことも利点となっています。

では、何故にこの「溶射」のT-SPECコートに今まで踏み切れなった理由を説明させて頂くと、そこにはコストの問題があります。超硬度の金属を吹き付けるゆえ、ホーニング作業の際も特殊な砥石を使わざるを得ないのが現状なのです。また更に言えば“溶射”自体の技術が、これまで確立されていなかったという状況もあります。
しかしながらこの先の未来はニカジルのようなメッキが排除される方向になっていきます。そうしたことを鑑みて当社では「T-SPECコート」の施工に踏み切ったのですが、現在では、この技術は某有名レーシングカーのシリンダーにも施されています。つまりは耐久性とフリクションの低減はニカジル以上の効果を発揮するのです。
もちろん、オーバーサイズ限界となったシリンダーを再生することも可能です。

これまでピストンがオーバーサイズ限界となったシリンダーを再利用する方法としてライナーの打ち換えが行われたものを何度か見かけたこともあるのですが、こうした作業が行われたものの場合、シリンダー強度が圧倒的に不足している問題が必ず生じます。
ショベル以前の旧車などエンジンがダイレクトマウントとなるモデルの場合、エンジンが車体強度の一端を担っているゆえ、そうしたシリンダーのライナー打ち換えはご法度の作業なのですが、未だにそうした作業が行われたエンジンを見かけることがあるのも、残念ながら現状です。

車体のストレスメンバーを担うエンジンに、そうしたライナーの打ち換えが行われていた場合、 “T-SPECコート”の施工はお断りさせて頂いているのですが、まず何よりもライナーの打ち換えなどの誤った作業を施す前に当社の“T-SPECコート”の施工を推奨します。耐久性に優れ、低フリクションを実現する “T-SPECコート”であればシリンダー内壁も0.5mm程度、再生が可能な上、半永久的に使用可能となることをお約束させて頂きます。

これまでコストの関係からサービスの切り替えを躊躇していたのが正直なところですが、やはりハーレーというバイクの問題を改善し、より楽しく安全なものにすることが当社サンダンスのポリシーです。今回はニカジルをはじめとするメッキ処理の表面改善法の先行きが不透明な時代だからこそ、より良いサービスの提供の切り替えに踏み切った次第ですが、常に新たな技術に対してアンテナを張り、それが「より良いもの」であるという判断を下した場合、切り替えることに躊躇しないことも当社の創業以来、変わらぬポリシーです。何故なら工業製品に対する工法や素材は常に日進月歩で進化を続けているからです。それを時代に応じて真摯に追求することが「正しい技術」なのではないでしょうか。

またこの“T-SPECコート”は特殊な金属を“溶射”する工法ゆえ、旧車の鉄シリンダーの他、アルミシリンダーにも施工可能なのですが、現在では当社のスーパーXR用のライナーレス・アルミシリンダーにも採用されています。

これまで当社のテスト車両に“T-SPECコート”を施し、その効果を確かめた上で多くのお客様にお試し頂いていますが、皆さま一様に「低フリクション」のエンジンが生み出す淀みないフィーリングに対して感嘆の声を上げられております。当社としても少しでも興味のある方に体感して頂きたいのが、このサービスです。

旧車から現行のミルウォーキーエイトまで……当社が絶対の自信を持つ新サービスである“T-SPECコート”を是非、お試しください。

 

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